「SONYのVAIO」終焉は「新たなVAIO」誕生の礎となるか

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秋冬モデル「SONY VAIO Pro 11 SVP1121A2J」が春モデルが出たおかげでお得に買えた」とかで書いているように、SONYのVAIO終焉直前となる、ほぼ最終モデルを購入しました。

購入前より、Lenovoとの提携が噂されるなど身売り話が飛び交っている状況であり、遅かれ早かれSONYとしてのVAIOは切り離されてしまうのだろうという状況を理解したうえで、SONYとしてのVAIOをいろいろと変わってしまう前に入手しておくのも一興かなとVAIO PRO 11を購入した次第。

その後の報道・発表などからもお分かりの通り、最終的にはVAIOブランドを日本産業パートナーズ株式会社(JIP)へと譲渡することで決着しました。

この発表を受けて「VAIOも終わった」「IBMからLenovoのThinkPadとなったのと同じ道を歩むんじゃないか」「国内PCメーカー終了」などという見方も少なくありません。というか、過半数を占めているかの状況。

このままでいいのか?いいわけがありません。

 

VAIOが手放された理由。

個人的にはVAIOは「これは終わりではない、VAIO新時代への幕開けだ 」にもあるように、SONYとしてはこれまでの市場戦略では戦えない状況になったので切り離さざるを得なかったのであり、VAIOそのものの価値が毀損したわけではないことが見て取れます。

上記記事に

市場シェア1.8%で、成長率-23%という結果だった2013年度第3四半期のPC事業

と、推測ではあるものの、他のメーカーと比較して、SONYの落ち込みが顕著であることがわかります。

PC 業界全体としてはWindowsXPからWindows7ないし8、8.1への移行期であり、販売台数が上乗せされることが推測される状況でありながら、 SONYがVAIOを撤退せざるを得なかったのは、VAIOがコンシューマ向けに特化した販売戦略を行っていたからにほかなりません。

事実他メーカーは法人向けの大きな乗り換え需要を支えに成長もしくは微減にとどめることに成功しています。

すなわち、市場がコンシューマ向けの「PC」を求めていない現実がそこにはありました。これはコンシューマ向けのタブレットやスマートフォンのPC市場浸食が想像以上の速度で進んでいることを裏付ける結果といえそうです。

 

となると、SONYというメーカーの下で今後、VAIOというブランドを展開し続けていくとなれば、VAIOのタブレットやVAIOのスマートフォンなどを展開していかなければ生き残れないのは明白。

で すが、そこにはすでにSONYのXperiaというすでに確立したブランドがあるため、VAIOブランドとして乗り込んでいったときに競合してしまうとい う恐れがあったため、「やむを得ず」VAIOというブランドをSONYから切り離さざるを得なかったのではないかと推測します。

コンシュー マ向けで生き残っていくには、Lenovoが取ったようなThinkPadブランドを利用した法人向け需要を満たすことと、とことん安価なIdeaPad など(最近はそれら安価なシリーズもThink化してますが)で市場シェアを確保することを両立する必要があり、特にPC市場は強い法人需要を満たすこと ができなければ生き残れない状況。

SONYのVAIOは法人向けに舵を切ることが難しく、Lenovoが取ったような手段はとれません。同 様に、Panasonicのような国内法人需要に特化したラインナップにすることもSONYのVAIOらしさをなくしてしまうため、身動きが取れなくなっ た結果の切り離しといえそうです。

 

IntelとMicrosoftにVAIOは潰された。

法人向け需要の確保ができなかった以上に、コンシューマ向けの需要の衰退が確定的になった要因が2つあると考えています。

1つはIntelによるUltrabookの推進。2つ目はMicrosoftによるハードウェア販売への浸食です。

Ultrabook の推進は、Intelが一定のハードウェア基準を満たした製品に対して付与したある種のブランドですが、これがいけなかった。もとより「尖った」製品を展 開していたSONYにとって、ある種の「制約」となってしまったきらいがあり、結果として用意された枠組みのなかでもがくことを強いられた点が大きな痛手 となりました。

単純にUltrabookでなくてもいいじゃないかという話ではあるんですが、Ultrabookでないというだけでハードウェア提供を渋られたり、量販店などでの販売展開に支障をきたしてしまうことになり、「尖っていた」部分が丸められてしまいました。

世界規模で商品展開している都合上、Ultrabookであるといことが重要なのは理解できますが、一個人としては非常に残念だったのがこの点。

 

そして、MicrosoftによるSarface展開。

商品投入こそ遅れていたり、ニーズをいまいちとらえきれていなかったりで影響は軽微なように見えますが、とどめを刺したのはこのSarfaceではないかと。

OS展開していたMicrosoftが自前のハードウェアを持ち出してきて、コンシューマ市場を大いに荒らしにかかってきたのです。しかも(割と)低価格で。

あ る種のファッションとしてVAIOが展開していたコンシューマ向けのラインナップの一部がこのSarfaceに持っていかれてしまい、同じ土俵で戦うに は、安価な価格設定が求められること、そしてPCとしてだけでなくタブレットとしての使用用途を満たさないとならなくなり、Xperiaで展開していたタ ブレットとの被りが出てきてVAIOが身動き取れなくなってしまいました。

ノートパソコンがモバイル端末購入選択の上で、1番手に 来るということはおそらくないでしょう。1台で済ませたい人はSarfaceのような端末に、キーボード入力の必要がない場合はタブレット、肌身離さず1 台あればいいというのはスマートフォンと完全にコンシューマ向け市場の様相が変わってしまってます。

そうなってくると、大きく商品 展開を変えていかなければならないんですが、SONYというメーカーの中にあっては一定の市場シェアを維持しなければならないこともあり大きな変革を実行 していきにくい(努力はVAIO PROやVAIO Duoなどで垣間見えた)ため、市場規模に合わせた展開が必要になり、小規模化とSONYからの分離という重い決断を下す結果となりました。

SONYのVAIOブランド変革が遅かったこともありますし、IntelやMicrosoftを批判する気は毛頭ないですが、遅かれ早かれこういった結果になっていたことは否めません。

 

今後のVAIOに望むこと。

日本産業パートナーズ株式会社(JIP)の元、新たな一歩を踏み出すことになったVAIO。

新生VAIOの歩む道は非常に険しく、そのままVAIOブランドそのものの終焉という可能性もあります。

いくつか道は残されているかと思いますが、個人的に期待するのは、やはりVAIOらしさである「尖った」製品を市場に積極展開してもらいたいということに尽きます。

IBMがコンシューマ市場に見切りをつけてLenovoへThinkPadブランドを手放した際、Lenovoはその知名度を大いに利用してノートパソコンを低価格化し積極展開してシェアを大きくとりました。ですが、VAIOはコンシューマ向けに特化しているVAIOはそういった展開にすることはできません。

となればVAIOが進むべき道はひとつ。

価格が高かろうが、IntelやMicrosoftが展開するブランドに該当しなかろうが、ユーザが求めてやまない or ユーザをあっと驚かせる商品を世に出していくことがVAIOの使命じゃないのか?と思い、そうすることでしか生き残れない気がするのです。

SONY配下でないので、世界展開する必要がなく、ニッチな商品を作っても十分回収できるだけの素養が日本市場にはあります。

ビジネス向けに特化することで生き延びている(と思われる)PanasonicのLet's Noteがあるように、コンシューマ向けにとことん特化することで生き延びるVAIOというブランドがあってもいいじゃないですか。

ガラパゴスノートパソコン万歳です。価格の安さなど魅力じゃないのです。すっかりコモディティ化してしまったノートパソコンでも、まだまだ改良の余地はあるのです。

大きなメーカーでは採用できないような商品を世に送り出し、VAIOここにあり!というのを示してほしいものです。

すっかり見かけなくなったWiMAXモジュール内蔵端末を出してもいいでしょうし、超絶軽量かつSIMスロット搭載のノートパソコンを出すだけでもアーリアダプタ層の興味は大いに引けるでしょう。

他メーカーが様々な制約から出せない、商品化できないものを送り出していってくれるのであれば、個人的にはVAIOをどんどん応援しますし、実際に商品も購入していくでしょう。

VAIOが実際にどういった道を歩んでいくのか、現時点ではわかりませんが、願わくば「これぞVAIO」という商品を多数送り出していってもらいたいものです。

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