
AMD Radeon R9シリーズ・グラフィックス・カードが発表され、目玉となるフラッグシップモデル「Radeon R9 Fury X」に関する発売記念イベントに参加してきたレポです。
ユーザに開放するタイプのオープンな記念イベントだったということと、海外発の情報を入手していたユーザが多いのか、これまでのグラフィックスボードとは何かが違うぞ!という雰囲気を感じ取ったのかはわかりませんが、期待感もあってかイベントは盛況。
プレゼンテーションでは座席が早々に埋まり、立ち見が多数出るような状況で、国内初のFury X発表がなされました。
発表会イベントは、「Feel、Fear、Fury」と題されていて、直訳すると「感じる、恐怖、Fury」となるんですが、たぶん「Furyのパワフルさに身悶えしな!」ぐらいな感じかなと。
ただ、発表されたFury Xの性能については、特にメモリバス幅の大幅増(4,096bit!)には驚きを禁じ得ないものがありましたし、発売はまだ先にはなりますが小型ゲーミングPCを組み上げる際の選択肢として最右翼に上がってくるであろうRADEON R9 Nanoや、新チップを2基搭載しながらボード長を23cmに抑えたデュアルGPUモデルだったり、そのデュアルGPU製品を搭載した小型PCのコンセプトモデル「Project Quantum」など、注目モデルが複数出てきたところも印象的。
Radeon R9 Fury Xは、DirectX 12や、4K解像度でのゲーミングを想定

イベント会場の立て看板から察するに、Radeon R9 Fury Xによって、4Kでのゲーミング(Ultimate設定でのプレイ!)が快適に行えることや、Windows10時代を見据えたDirectX 12対応をアピールする目的があるように感じられます。
4Kでのゲームしかも最高画質設定という点においては、ハードウェアスペック的に厳しいという側面がありましたが、堂々と「4K gaming experience on max settings」と表明しているあたり、自信が伺えます。


会場では、各メーカーのRADEON R9シリーズラインナップが勢揃い。
置いてあったのはFury XではなくR9 390シリーズが中心でしたが、なかなか壮観。

イベントに参加だー!ということで、会場で展開されていたボディペイントをしてもらいました。
お姉様の丁寧なお仕事により、とてもきれいな「RADEON R9 FURY X」ペイントが。
RADEONのレッドカラーが肌色に映えます。
会場で周りを見渡してみると、思っていたよりも多数の方がボディペイントされていた印象。やはり、ペイントしてもらいながらお姉様と楽しい会話のひとときを過ごすことが出来るというのが功を奏したのかもしれません。単なるボディペイントシール配布だったらこうはいかなかったはず。
デカいが色々詰まってるFIJIチップ

そして、イベントの目玉となるRadeon R9 Fury Xに搭載されているチップ「FIJI CHIP」がお目見え。

新チップお披露目で、グラフィックス・プロダクトマネージャーのDevon Nekechuk氏がこれでもかっ!というどや顔を披露されてたのが印象的。
チップサイズがメモリ積層などがあり大きくなったことが、この発表の場では大きく活きる形に。
HBM(High-Bandwidth Memory)に見る、グラフィックス進化の道筋

そして何より注目は、これまで基板上に並列に並べていたメモリをGPUパッケージ上に実装することで、チップサイズは大きくなるが、トータルでのグラフィックスボードサイズは大きく低減できる利点をアピール。
さらに、GDDR5の高クロック化によるデータ転送の高速化に頼らずとも、めっちゃ広いメモリバンド幅4,096bitにより、クロックを押さえても十分すぎるパフォーマンスが得られると謳っています。R9 390が512bitなのに対して実に8倍という数字からもその凄さが伝わるかなと。
詳しい技術的な話は、正直理解するにはちょっと時間が足りなかったので簡単に要約すると
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High Bandwidth Memoryこと、HBMという積層メモリ採用で貫通配線することでメモリバス幅がどーんとUP
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ハードディスク→SSDのような体感性能向上が期待される
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メーカー独自デザインの販売予定は?
→ Fury Xは、簡易水冷採用リファレンスデザインのみの販売予定
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メモリ4GBはハイエンドモデルとしては少ないのでは?
→ 技術的には8GBも容易に実現可能
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HDMI 2.0は未対応
→ まだ液晶側が普及しきってないと判断?次世代モデルに期待
ということで、フラッグシップモデルとしてNVIDIAがまだ実現していないHBMを採用することに重点を置いた「初物」モデルということもあり、リファレンスデザインのみの販売、需要が高まりつつあるHDMI2.0対応などが見送られていることからも、「これからのグラフィックスボード」を象徴すべく、最新技術を詰め込んだというのがポイントかなと。
販売本数がかなり限られていたということから、Fury Xを用いてシェアをどうこうするというわけではなく、Gefoce GTX 980Ti、TITAN XなどのNVIDIAのウルトラハイエンドモデルに対抗していく道筋を示したのかな~という印象。
個人的には、28nmな製造プロセスが20nm化(19nmかも?)して、HBM積層メモリが増えて8GB化することができたあたりに「本気」なモデルを投入してくるのではないかという期待をしています。
その頃にはHDMI2.0対応も果たしているでしょうし、リファレンスモデル以外のラインナップも期待できます。

あと、個人としてはウルトラハイエンドモデルには手が出ないので、ミドル~ハイエンドあたりを(ゲームはしないけど)狙いたくなるわけですが、この日同じく発表のあった「AMD RADEON R9 NANO GRAPHICS CARD」がかーなーり、魅力的に映ったり。
なにせ、6インチ(15.24cm)に収まる、それでいてRADEON R9 290並かそれ以上のスペックを有していると謳うのだから、MiniITX中心な構成であっても搭載できそう!という期待が膨らむわけです。噂ベースですが6ピン×1(もしくは8ピン×1)で電力供給は賄えそうですし、1世代前のハイエンドモデルがコンパクト化されてスペックそのままとくれば注目しないわけにはいきません。
もちろんお値段次第ですが、RADEON R9 390がメモリ倍増、クロック微増でガッツリ値下げしてきたことを考えると、R9 Nanoにもコストパフォーマンスはある程度期待しても良いんじゃないかなと思うわけです。
そんなRADEON R9製品ラインナップの販売予定は、先行販売となったFury Xに続いて、空冷モデルのRadeon R9 Furyが7月中に発売する予定となっていて、個人的に注目のRadeon R9 Nanoは8月末頃を予定。さらに、デュアルGPUモデルが年内に登場予定となっているそうです。
現実的な消費電力に収まりそうな、FIJIチップ×2なデュアルGPUモデル...こちらも気になります。

そんなわけで、今後の展開を見据えたAMDの戦略を新技術とともに発表してくれて、色々と妄想が膨らんだプレゼンテーションでした。
やっぱり単なるスペックアップじゃなくて、既存の技術を闇に葬りかねない新たな技術の登場は楽しいです。

FIJIチップ自体の大きさは、既存のチップと比較してだいぶ大きくなりましたが、製造プロセスがシュリンクしていくと、もう少し小型化するのかもしれません。
次世代のHBM採用モデルがこうなる!みたいな噂はまだ出てきていませんが、HBMをライバルのNVIDIAに先駆けていち早く採用するなど、積極性が垣間見えますし、そういった新技術の取り込みは評価したいところです。
今回のイベントでは、目に見える形で恩恵が見て取れた(メモリ帯域の大幅引き上げ、グラフィックスボードのコンパクト化、ワットパフォーマンス向上)のが印象深いです。
5K解像度も容易にこなす高精細ゲーミングデモ

プレゼンのあとは、デモを色々見て回ろう!ということで、イベント会場に設置されていた各種PCを見て回ります。

5K液晶(Dell 27型 5Kワイド液晶ディスプレイ PremierColor Uシリーズ UP2715K)で高精細なゲーム映像を流していたり。

搭載しているのはもちろんFury X。
RADEONの文字が光り、さらに右側のLEDで動作状況を示してくれるので、サイドアクリルケースなどに搭載したくなります。
ティアリングを低減するFreeSyncをアピール

ライセンス料など発生することなく採用可能なFreeSyncのデモもされてました。
ライセンスフリーで、かつ特別なハードウェアはなにも必要としないのでもっと頑張って欲しいです。
この点ばかりは、ライセンス料が必要なNVIDIAのG-syncと一線を画すため、もっとアピールしてくれたらいいのに!!と見かけるたびに思います。

デモではON/OFF切り替えなどできるんですが、一度これを体感してしまうと、FreeSync OFFだとイライラが募ってしまうぐらいモヤモヤします。
いわゆる「ぬるぬる感」を実現してくれるだけで、見る側の快適さがこうも変わるのか!という良いデモだと思います。
映像インパクトには欠ける感じもあるので、やはりゲーム映像などでデモして欲しいところ。
開発中なFURY Xを搭載したコンパクトゲーミングPCが先行公開

RADEON R9 FURY Xを搭載していながら見事なコンパクトサイズに収まると謳う、マウスコンピュータのゲーミングシリーズ G Tune で近日展開されるそうです。
お値段は張りそうですが、このサイズ感にハイエンドグラフィックスボードとは・・・迫力ありそうです。




Core-i7 4790が載り、さらにRADEON R9 FURY Xも搭載して、700W電源なのにコンパクトサイズ。
持ち運びも対応出来るケースデザインということで、発売されたら結構注目を集めそうです。
期待。

3画面展開で、2K(1,920×1,080)×3で、合計6K!とした展示も。

めちゃめちゃゴツいケースに入っていましたが、CORSAIR Obsidian Series HPTX規格対応PCケース CC-9011022-WW (900D)でした。
HPTX規格対応PCケースなんですが、さすがの威圧感です。
設置スペースが確保できるのであれば、この手の大型ケースにハイエンド構成をゆとりを持って搭載してみたいものです。
我が家はMini-ITX中心なので難しいですが。

8コアCPUであるAMD FX-9590に加えて、ASUS CROSSHAIR V FORMULA-Zを搭載するなど、さすがの構成。

横解像度が非常に広いので、この手のゲームをプレイするのには良さそうですが、こう見るとやはり縦解像度も欲しくなっちゃいます。
縦3枚で、3,240×1,920にしてもおもしろいのかもしれません。まぁ、4Kか5K液晶1枚でいいじゃん!とかなっちゃいそうですが。
インスパイアアート展に見る、愛真田心のあと一歩感

非公式応援キャラ「愛真田心」(あまだこころ)のアート展が展開されてました。
イラストレーター12人が、それぞれ愛真田心とFIJIチップを組み合わせたイラストを展示する形。



特徴点が、黒髪ロング、小悪魔八重歯、胸にリボンといったところですが、イラストレーターさんによっていろんな愛真田心が見れて楽しかったです。

イラストレーター 黒銀さんのインスパイア作品がビビッときたり。
キャラクターとしての「愛真田心」は、メディア露出等こそ少ないものの、地道にAMDのアピールしてきたキャラクターであり、今回のイベントにおいてもアート展が展開されるなど、結構な取り上げられ方をしているのに非公式なままなあたりに、AMD本社側の許可が下りないのかな?とか勘ぐったり。
「公式キャラクターとしてRubyがいる」というのも理由に挙げられそうですが、おばちゃん化しちゃった感があって国内受けは決して良くないと思うんですよね、Ruby嬢。(参考:Digital Fan Kit AMD)
そんなわけで、公式化に至る予定はないのかな~と、非公式キャラ継続を憂うわけです...。
個人的にはつくもたん一強な状況(6連覇とか・・)にある、PCパーツ関連萌えキャラに一石を投じて欲しいと願うわけですが、AMDさんどうでしょうか。

Fury Xをはじめ、久々の新世代製品発表イベント参加はおもしろかったです。
次期HBM採用モデルや、R9 NANO発売のタイミングなんかにまたイベントやってくれないかなーと期待してます。
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