AMDにお祭り男が・・

実は、AMD勉強会開始直前にギリギリのタイミングで参戦したこともあり、「さぁ、AMD勉強会の開始です」「開始に際して、あの方が・・・」みたいな流れで面食らったんですが、開始早々に「お祭り男」にお呼びがかかり、宮川大好さんが登場。
初見で、思いっきり「宮川大輔」サンかと勘違いしてしまうほどの激似っぷり。
モノマネ芸人さん(しかも芸人になってまだ半年!)としてのクオリティの高さに驚きつつ、「あれ?勉強会だよね?」という何ともいえない雰囲気に。
このあたりの「祭り好き」だけど、「よくわからない空気感」を作り出すのはAMDさんならではかなと。
まぁ、まじめな話ばかりしても疲れちゃうので、良い意味で息抜きさせて貰いました。

AMD本社から来日中のお二人も、この宮川大好さんの登場には苦笑い。
もしかすると知らせてなかったのかも?的なサプライズ感。

まぁ、「わしょーい!」とノリよくやってくれたりもするんですが。
AMDはゲーマーにフォーカスし続ける

AMD Min H.Imm氏
さておき、本題です。
2011年以降、AMDはゲーマーフォーカスし、ゲーマーフォーカスにした結果、各種デベロッパが参画してくれるようになったそうです。
スペックありきでガンガン行くよりも、技術を生かせるプラットフォームにアピールし、協力体制を組むことで新たな展開も見えてきた!というような感じでしょうか。
最近だと、いわゆる「バンドリングプログラム」で、グラフィクス各種製品とゲームバンドルする動きができてきているのが目に付くところじゃないでしょうか。
そして、ゲーマーフォーカスで、より良いものを提供していくため、イノベーションを起こすために「Mantle」を発表、展開。
100を超えるデベロッパがMantle ベータプログラム時代から参画してくれ、今では各種ゲームに内蔵する個別エンジンでMantle対応となってきているなど最適化が図られてきているようです。すでに20を超えるゲームがLaunchedされ、Sid Meier's Civilization: Beyond Earthが成功例だそう。
グラフィックボードでレンダリングが容易になり、ボードの性能を最大限に生かすことができるようになったそうで、結果として使用している環境はわかりませんでしたが、Mantleを使用することでBattleField 4であれば、39FPS → 55fpsに、Thiefであれば36 → 60fpsへと改善することができているそうです。
もちろん、ゲーミングに注力するにあたり、日本国内市場にも積極展開すべくローカライズも進めていて、日本に関しては Dragon Quest Xで、APU×DQXという形でアピールしてたり(ただし、Mantle対応はしていない ※はず)。今だと、2015年1月まで、APU搭載推奨モデルを買って「ドラゴンクエストX」をもらっちゃおう!キャンペーンが実施されてたりもします。
Mantle対応という意味では、CAPCONが、シンガポールにてMantleのレビューを行うことを発表しているほか、国内でも「カプコンの新世代ゲームエンジン「Panta Rhei」はMantleに対応。AMDのイベントで開発者がその理由と利点を解説」という形で、発表されていたり。
PC、PS4、XBOX ONEで、すでにチェックしていて一定の評価は得ているそうで、遠くない未来にそれらプラットフォームで何らかの発表等が得られるのではないか~ということでした。もちろん、現状に満足しているわけではないので、さらなるアライアンスなどを獲得できればと考えているそうで、期待したいところです。
AMD Catalystの名付け親

AMD Terry Makedon氏
Catalystの名付け親でもあるTerry氏が、Catalystについて語ってくれました。
ユーザは製品を購入しているのではなく、ソリューションを購入しているので、AMDも製品ではなくソリューションが重要な位置づけであり、ソリューションを2つのユーザへ販売しているそうで。
Customersには、優れた体験を。
Developerには、最適化された効率の良い開発環境を。
Catalystは長い歴史(2002年~)があり、数年間ごとに新しいイノベーションを実現してきていて、それはCroxxFireだったり、OpenCLだったりであると。
なお、Catalystは昨年末(期間は不明)時点で、8,000万DLという実績があり、これからもどんどん進化をさせていくと。
AMD Catalyst OMEGA
進化を見せつける新たなソリューションとして、Catalyst OMEGAの発表となるわけです。
すでに正式公開されましたが、この時は2014/12/5の正式リリース前であり、NDAを結びつつ、話を聞くことが出来たわけで技術的に疎い人間にもよくわかる、貴重なお話がいくつも聞けました。詳細な説明が出来ない知識のなさが残念極まりなし。
限定公開らしいんですが、YouTubeに当日の様子がUPされていたので、詳細はそちらをどうぞ。
なお、Catalyst OMEGAは何を提供するのかと簡単にいうと、
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20を超える新機能
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パフォーマンス改善は、RADDEONであれば最大19%UP、APUについては最大29%UPと大いに恩恵アリ
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バグフィックスおよび改善多数
と、ハードウェアはそのままに、ソフトウェアの改善によってパフォーマンスが大幅アップ。
通常であれば、バージョン数字で展開するんですが、色々と革新性があったので「OMEGA 」としたそうな。
Catalyst OMEGAの品質については、これまで行われてきた以上のテストが実施されていて、品質改善テストだけではなく、ユーザコミュニティで挙げられていた問題の改善にも努めているそうで、実績としてはコミュニティ内でユーザへシンプルな質問として「Catalystで1番重要な問題は何?」という問いを投げかけて挙げられた答えをTOP10リスト化して、改善に努めていき、そのTOP10の問題はすべてFixedすることができたそうです。
このように、ユーザの声も反映しますよ!ということで、http://www.amd.com/report/で、意見があれば寄せてもらいたいとのこと。現時点では英語のみであるが、日本語対応も検討しているみたいですが、過去にも同様に英語ページだけ出来て日本語ページも検討しているよ!といいつつ、なかなか出来ないのがAMDクオリティなので正直そこは期待薄。
AMD Fluid Motion VIDEOのぬるぬる感

AMD Adam Kozak氏
続いて、AMD Fluid Motion VIDEOについて。
AMD Fluid Motion VIDEOは、Kaveriで機能追加された機能であり、Blu-rayで動画再生について通常は24フレーム/秒なわけですが、現実世界では60フレーム/秒といった感じなため、補完機能を入れてもジッタ(揺れ)が発生してしまうそうです。
そこで、APUを上手いこと使って、Fluid Motion機能を使うと、フレーム挿入について非常に良い効果が得られる・・と。
劣悪な圧縮に対するクリーンアップとして、Contour Removalを実施したり、エンジニアがアルゴリズムの改善を行った結果、ブロッキングの改善がかなり進み、青空の表現などがかなり良くなったと。
インテリジェンスで、雲であるとかは別のものに対して悪影響を与えることなくいけるようになってるあたりをアピールしてました。
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1080P DETAIL ENHANCEMENT
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Perfect Picture Additions
と、まぁなんのこっちゃなワケですが、詰まるところFull HDに適した形にLowPowerで最適化処理ができるのがポイントらしく、4KおよびUltra HD Display向けの最適化処理も実施可能であると。
1080pの映像を4K化すると、通常だと荒さが目立つわけですが、Adaptive Upscalingを用いると、4K化の加工が容易かつスムーズに処置することができ、1080pの映像ソースとは思えないくらいにデモ映像ではかなりスムーズになっていたのが印象的。
コンテンツが1080pどまりであることが多いけれども、ディスプレイは高精細化しているので、それに合わせた処理が行えるのは強みになりそうです。最近だと、4Kはもとより5Kディスプレイとか販売されてきているので、今後の展開を見据えた一手なのかなと。
なお、RADEON HD260以降であれば、使用することができるそうなので、割と手を出しやすいのではないでしょうか。
CrossFireや、Dual Graphicsをスムーズに処理ができるようにする機能である FRAME PACING ENHANCEMENTS によって、複数グラフィックスボードを使用した際の処理・分担がスムーズではなかったものが、Enhance Mentを進めた結果、適切な処理を行うようになったため、より各グラフィックスの機能を適切に使えるようになったので、結果として処理能力が向上したそうです。
グラフィックスボード2枚で1.3~1.4倍ぐらいの性能だったケースが、1.7~1.8倍ぐらいの性能が出せるように最適化されたといえばわかりやすいですかね。実際のところはどの程度最適化されたのかはわかりませんでしたが、以前よりはだいぶ改善されたようです。
そのほか、R9 280や、R9 285限定(今後は拡大予定だそうです)が、Virtual Super Resolution、Super Sampling Anti-Aliasing(SSAA)といった機能によって、サポートされているゲームはもちろん、未対応のゲームであってもテキスチャのエッヂをスムーズにする効果が得られたりもするそうですが、ウルトラハイエンドクラスのボードは手が出ないので、そこはブルジョワな方や、とことんゲームパフォーマンスを求める方向けなのかなと。
個人的に気になったのが、「AMD FREESYNC TECHNOLOGY」という機能で、グラフィックスボードとディスプレイにおいて、同じものを同じように表示することができ、ディスプレイのリフレッシュレートにおいて差があったとしても、フレームレートに合わせていく処理が行えるようになる、いわゆるnVidiaのG-SYNC的なものと同様に、入力遅延、ティアリング、カク付きを除去機能が今後展開されていくようで、将来的にはスタンダードとなっていくだろうという話で興味津々だったんですが、ハードウェア的に対応したディスプレイが必要になるということで、まだ未来の話っぽかったのはちょいと残念。
展開としては、SAMSUNGが2015年に発表予定で、UHD MONITOR + FREESYNCなディスプレイを発売予定だそうですが、SAMSUNGは日本国内の液晶ディスプレイ市場から撤退しちゃっているわけで・・・
一応、SAMSUNG以外の国内メーカー含めた、別メーカーも製品発売検討中なようなので、そちらに期待をしておくことにします。
なお、今後導入していくUHDディスプレイはすべてFREESYNCに対応していくそうなので、現状としては早いところ国内対応製品が登場してくれるのを心待ちにしておくしかなさそうです。
あとは、5k MONITOR SUPPORTで、5120×2880@60Hzもいけちゃうというアピールがあり、DELL UP2715kが欲しくなったり、EYEFINITY機能によって、最大24ディスプレイも行けちゃうよ!(けど、大きな家が必要だよ!!)とか、SEE MORE、DO MOREな展開も小話としてでてました。
あとは、Linuxにおいて、VA(Video Acceralation) APIを使うことができるようになるというのは、なかなか面白いポイントなのではないかと。現状はどうしてもWindowsに最適化されてるので。
AMD勉強会 Q&A
勉強会で挙げられた質問をざっくりまとめてみました。
Q:FREESYNC、nVIDIAのG-Syncに勝る点は何か
A:G-Syncは追加モジュールが必要。FREESYNCはDisplayPort 1.2Aがあれば行ける、OpenPlatformであるFREESYNCは、低い周波数にも対応できる(24fpsでもOK。G-Syncは30FPS~)。また、SAMSUNGだけじゃなく、他のベンダにおいても採用していくでしょう(2015/第1四半期には発表があるかと)
Q:ノートパソコンでのFREESYNC対応予定はあるのか、2014、1月時点ではさほど難しくはないという話で聞いている
A:一般的なノートパソコンでは、FREESYNCのサポートは未来ではあるが考えてはいる。ノートは明確な予定は無い(検討余地はあるぐらい)。ただし、OpenPlatformなので、もちろん対応可能である(と思われる)が、まずは既存のデスクトップ向けのディスプレイに注力。追加モジュールありきではないので、追加コストは少ない。G-SyncはInputが1つしかないが、FREESYNCについてはDiplayPortだけでなく、HDMIなどの別インターフェースであっても対応することが可能である。また、ノートパソコンはDRR(という機能)があり、FREESYNCの一部が備わっている(ので後回しチックな印象)。
Q:GPUシェアがDropしているが、ファイナルウェポンとしてOMEGAを発表したの?
A:シェアどうこうは営業にまかせるよ、優れた機能を提供するのが我々の仕事なので
Q:ドライバアンインストールユーティリティが突然公開終了になってしまっている、再開含めて対応はどうなのか
A:要望は把握している。Installユーティリティをステップ1、Un Installユーティリティをステップ2として検討している。(Step1は確定)
個人的には、OMEGAという名称でどこまで引っ張るのかな?ということを疑問に思ってたんですが、あとで調べてみたところ、以後のバージョンに関しては従来通りの数字付け表記になるそうで、OMEGAはある意味の「一区切り」的な扱いみたいでした。
AMDとサイバーリンクの協力関係

サイバーリンク アイソ氏(間違っていたらすみません!)
先ほど挙げたFluid Motionを用いて、Blu-ray24P を60Pにする仕組み的なところを説明いただきました。
通常は足りないフレームをコピーし、足りないフレームを補完することで実現できている・・・といえば、聞こえも良く単純明快なわけですが、その実現には色々と苦労があったそうで裏話的にお話を伺えました。

AMDとサイバーリンクが協力し、2013年か夏より、長期にわたって協力。
かなり早い時期からサンプル提供を受け、AMDのトロントチームとサイバーリンクのカーネルチームが台湾にあって、いろいろやり取りをし、CCCドライバとPowerDVDのインターフェースを何度も改善して、コンセプト共有からドキュメント、SDK、テストベットも共有するなど積極的な協力体制の元、動かれたそうです。
Fluid Motionの働きどころとして、単一APIを呼び出すようなものではなく、かなり複雑具合なメカニズムでグラフィックスのワークロードを検出し、Blu-rayコンテンツを解きほぐした上で、ドライバにお届けする形をとっていると。
Fluid MotionドライバでPowerDVDのパラメータを参照し、結果として補完された映像が出るような仕組みとするなど単純にドライバ一つでぽーんと実現できるレベルではない模様。
それ故に、Fluid Motionに対応するために、PowerDVD 14 Proが必要になると。
裏話としては、上記画像にあるように、
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ハードウェアでの映像品質を心配した
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ソフトウェアによるアルゴリズムよりも悪ければプロジェクト中止も考えた(DVDのみの機能truethiater)
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両者間の努力も無駄になるんじゃ・・
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エンジニアが多大な時間を費やしたのに・・・
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最初はジッタやモザイクフリッカーが多発・・・
→ 結果的には問題が発見されると随時APIを改善。Fluid Motionの品質もアップ
そして、結論としては「アニメ見るならAMD!」となり、さらには Fluid Motion を用いることでヌルヌルな映像が楽しめるとあって、「アニメ見るならPowerDVD!」というアピールもしっかり。
なお、PowerDVDをアピールすべく用意されたデモ映像は崩れて残念な結果になってました(ので掲載しません)が、大人の事情で映像が載せられない某アニメを用いたデモ映像は、かなりのヌルヌル具合で、このために環境を用意してもいいかなと思える出来でした。
PowerDVD 14 Proが必要じゃなければAMDの良さがもっと世にアピールできて広まるのに!と、思ってたんですが、お話を聞いているうちに、やっぱり相応の苦労が重ねられた結果得られたものであり、有用なソフトにはそれなりの理由がアリ、しっかりお金を落として購入するべきだよね。という結論に。いつか、APU単体で実現できたりすると、いいんですけどね。
なお、Fluid Motionの条件は以下だそうです。
AMD 6コアGPUが載っていればいける(上位APUであれば対応可能)。グラフィックスボードとしては、AMD RADEON R7 260以降で対応なので、Intel派な方でもRADEONを用いればOKです。
AMD勉強会 Q&A その2
ここで、グラフィックスボードについてのQ&Aもあり
Q:Intel CPUユーザに対して、安価な製品でも対応しているためショップは売りたいが、製品がすでに生産終了等で発注できないと聞いている
A:安価なGPUでも対応できるようなことをやっていきたいが、発注先はASUSであったりとかの別ベンダとなっている。AMDが締めているとかではない、AMD直のオーダーはAPUであり、こちらはどこでも買えるので、そちらを推奨して貰えると嬉しかったりする
Q:代理店問い合わせ実施したところ、ロットアップ(R7 260)だった
→ 追加:安価なRADENONでも対応してほしいというのがショップの願い(らしい)
A:実はAMDにもR7 260がロットアップだという情報は入ってきていない(並行輸入品は多少ある程度)
Q:店頭デモをショップ店員が自腹で実施している状況をどう考えているか
A:店頭デモは代理店と協力して、来年の頭には50店舗程度で、デモを実施できる見込みで動いている
Q:洋画においてカクつく傾向にあるが、FREESYNCやFluid Motionではどの程度いけるのか
A:気持ちが悪いぐらいヌルヌルになる
Q:PowerDVDのインストール回数制限を知りたい(再インストール出来なくて困ってる)
A:回数は非公開ではあるが、サポートへ電話を行いプロテクト解除することが可能である
Q:PowerDVDのBlu-ray暗号化キー(ACSキー)が更新されなくて困った
A:ACSキーの更新は18か月に1回更新が必要、最新であればバックグラウンドで自動更新される
→PowerDVD10でバグがあり更新ができかった。サポートへ連絡して欲しい。
AMD勉強会の締め

AMD 森本氏による挨拶で締めとなりました。
記者発表したばかりの内容であり、NDAを結ぶ形ではあるものの、公になっていない状態で情報を展開できる貴重な機会を設けて貰ったことに感謝(いっぱいお土産も貰ったし)しつつ、新製品のお話が聞けなかったことに若干の残念感もアリ、とはいえ既存のハードウェアでパフォーマンス改善がなされるということで、我が家のAMDプラットフォームなPC(4台ほど実稼働中)も大いに恩恵を受けるということで、ありがたくCatalyst OMEGAを導入しつつ、Fluid Motionも試していきたいなと。
何度かAMD勉強会には参加していますが、勉強会としてはやはり2時間というのはとても短く、出来ることなら3時間、4時間と枠を広げて貰って、もうちょっと実際にユーザとの対話を交えたコミュニケーションの機会があればなお良いかなと。せっかくブロガー同士が集まっているので、そのあたりの交流も広げられればいいかなーとか思いつつも、皆さんそれぞれ(遠くから来ていたりとか)事情もあるかなというところで、難しいのかもとか感じたり。
AMDの今後の展開として、ゲーミング(GPU)強化の方向性は確認できましたし、映像周りの環境の変化(4K、5K、はたまた8Kまで)にもAPU単体で追随していってくれそうな印象も得られたので、今後もAPU単体で結構戦えるんだゾ!ということを個人的にはアピールしつつ、ちょっと長い間疎遠気味なディスクリートGPUにも手を出していこうかな~と思えた勉強会でした。
あとは、「これで勝てる!」的な製品の登場には、やはり期待せざるを得ないので、今後の展開を暖かく見守らせていただこうかなと。
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